海外で内定をもらった後の「条件交渉」は超重要!!
意中の企業にめでたく内定をもらえたら、あとは条件交渉に挑む段階です。が、この条件交渉結果がその後のゲンサイ生活を大きく左右するので、ここは妥協することなく交渉を進めなくてはなりません! では、会社との条件交渉時に気をつけるべきポイントとは?
中長期で海外で働くつもりであれば、この最初の条件内容がベースとなるため、条件交渉は非常に重要です。それでは、気をつけるべき重要なポイントを以下でひとつひとつ見ていきましょう。
給与:手取り or 額面、ボーナスについても確認を
言わずもがな、給与は非常に大事なポイントです。なので、こちらから交渉を有利に進められるよう、可能な限り情報を収集しておきましょう。その国のその業界における平均給与はどれぐらいなのか?日本だとどのぐらいの水準なのか?思いつく限りの情報を、あらゆる手を使って集めておくのです。
さらに、給与額の交渉時に一番ベストなのは「別会社からも内定をもらっていて、実際にXXX程度のオファーを受けている」という切り札を叩きつけられること。ここはハッタリでも良いのですが、わたしは実際に他社からもらったオファー額を面接官に直接伝え、増額を勝ち取った経験があります。
もし入社時の給与にあまり納得がいかない場合は、その社内の昇給システムや、同クラスの同僚の給与がどの程度なのかを含め、将来の期待値がどれぐらいになりうるかを確かめてみるのも良いでしょう。
また、給与が「額面」なのか「手取り」なのかの確認も忘れずに! 年棒制なのか、ボーナスの評価はどうなるのかも。中国や香港の場合、「双薪 (ダブルペイ)」の内容にも注意を。このシステムは「年の最終月に給与が二ヶ月分支払われる (=1年で13ヶ月分の給与)」というもので、中華圏の大半の企業で導入されているので、その部分の契約内容もきちっと確認しましょう。
ビザ:会社が手続きしてくれますが、家族分は確認を
外国人が企業で働くためには就労ビザが必須となりますが、この手配は会社側でやってくれるところが大半。なので、この部分は特に心配する必要がないでしょう。
ただ、家族帯同の場合、家族のビザ発行に非協力的でないことも可能性として考えられるので、その点はあらかじめ確認しておいた方が良いかもしれません。
住宅手当:家賃の高い上海や香港では絶対交渉すべし
天下の駐在員だと住宅手当が出るのは当たり前で、しかも、高級住宅エリアのトップクラスの物件に住むのも珍しくありません。というか、それが普通な会社も多々。わたしが駐在員時代の頃は、小さな会社だったとはいえ、市内ど真ん中のそれなりの額の住宅に住まわせてもらいました。
が、しかし、ゲンサイヤーの場合、住宅手当が出る案件は少ないのが実情。特に若いプレイヤーの場合は住宅手当まで出してくれるところは非常に少ないです。ところが、マネージャークラスになると、住宅手当が別途出る案件も少なくないようです。
わたしの場合は過去に内定をもらった際、「家族帯同可で、住宅手当あり」という条件を勝ち取った経験が3度あります。さすがに住居費の高い香港の場合は全額カバーしてもらうことは無理でしたが、それでもかなりの額にOKを出してもらえました。
会社側で様々な事情が絡んでくるのと、こればっかりは交渉事なので結果がどうなるかはわかりませんが、ゲンサイ生活のハッピー度に大きく影響するポイントなので、住宅手当については粘り強く交渉をしてみてください。特に上海や香港など、家賃が高い街での住宅手当は非常にありがたいです。
家賃分をそのまま給与に付加くれる契約も考えられますが、その場合だと所得税がより多く発生してしまうため、オススメしません。家賃補助が一部出る場合は仕方ありませんが、住宅手当全額カバーしてもらえるような場合は、給与とは別枠で「家賃は会社負担 (会社が大家と契約)」という契約を勝ち取るのがベストです。
医療保険:とにかく高いけど、安心を買うべき
意外と軽く見られがちな医療保険。ゲンサイの場合だと会社が何もカバーしてくれないことも多々あり。また、自ら起業した人の中にも、「過去十年以上、一度も保険に入ったことがないし、病気になったこともない」という強者がいるのも確かです。
しかし、わたしの周りには、シンガポール滞在時にサッカーでアキレス腱を切って手術 → 現地で治療費100万円オーバー自腹、ですとか、香港で階段で足を踏み外して足を複雑骨折 → 保険がないので手術代払えず死ぬ思いで日本に帰国、したような人も実際にいます。
このように、海外では100万円単位で治療費を請求される可能性もあるため、医療保険は絶対に必要です!!! この医療保険(海外旅行保険)については、当ブログ内の別記事 でも詳しく紹介しています。とにかく、会社側でこの医療保険を負担してもらえるのかどうか、も必ず入社を決める前に確認するようにしましょう。
ちなみに、普通に海外旅行保険を家族4人で入ると、一年間で軽く100万円コースですよ。個人で気軽に支払える額ではないので、決して甘く見ないでください!
家族手当:主に学費+バス通学費 (幼稚園代は注意を)
家族帯同を考えている人は、家族手当がどうなるかの確認も必須項目です。駐在員だと子女の学費(の一部)は会社持ちの場合がデフォルトですが、ゲンサイだとそこまでカバーしてくれる会社はほとんどないと思うので、住宅手当よりもハードルが高いかもしれません。
日本とは違って、中華圏では幼稚園の費用が馬鹿になりません。例えば香港で有名な日系の「オイスカ幼稚園」だと保育料が毎月約HK$5000(≒10万円)なので、何も考えずに幼稚園児を連れてくるとマジ死亡。
また、駐在員であっても義務教育ではない幼稚園の費用はカバーしてくれないケースが結構多いので、この点はきちんと確認しておくようにしましょう。
わたしの過去のケースで言うと、会社によってケース・バイ・ケースでした。幼稚園の費用はカバーしてもらっても一部のみで、義務教育の小中学校は (だいたい) 全額カバーしてもらえたり、でした。
一時帰国手当:駐在員よりも優遇される場合も
この一時帰国手当についても、条件は会社によって様々。駐在員であっても1年に1度だけ費用は会社持ちであったりするので、ゲンサイでそれほど好条件を提示してもらってるケースは多くはないでしょう。
わたしは交渉に交渉を重ねた結果、悪くない条件を提示してもらえました。が、日本にそんなに頻繁に帰りたい人間でもないので、権利はあまり有効活用できていません。。(涙)
(突然やってくる) 契約解除に関して
法律に守られた正社員のクビを簡単には切れない日本とは違い、特にアメリカなんかは簡単に人のクビがぶっ飛んだりしますが、アジア圏でも同様のことが起こり得るのです。ですので、「契約解除」に関しての項目も、できるだけ契約内容に盛り込んでおくべきです。
中国での例を詳しくご紹介すると、中国国内において中国人は「労働法」に守られているため、雇用者が被雇用者を契約解除する際、国のルールに従う必要があります。例えば7年間継続して正社員として働いた人をクビにする場合、会社側は「経済保障金」として8ヶ月分の給与に相当する額を支払う義務が生じます。
ところが、この労働法は外国人には適応されません。特に上海においてはこのルールが適応されないことが過去の判例でも明らかになっており、上海の外国人労働者は非常に不利な雇用条件下にある、と言って差し支えないでしょう。
実際、外国人労働者をクビにする際、会社側は経済保障金を支払う義務がないので、日本人はもちろんのこと、大陸出身ではない香港人や台湾人なども、いとも簡単にクビにされていく状況を目の当たりにしてきました。
勤めている会社の業績が悪い時などは特に、解約解除通知は突如やってくるものです。その際に、労働契約書の中に「契約解除」に関する項目が何もなければ、中国ではもう法律はあなたを守ってくれません。ですので、できる限り「契約解除」の項目を契約書の中に、例えば「会社都合で契約を解除する際は、少なくともXヶ月前の通知が必要で、その際は給与Yヶ月分の保障金を支払う」等の内容を盛り込んでおくことを強くオススメします。とはいえ、会社側にとってはリスクでしかないので、なかなか交渉に応じてくれないとは思います。
まとめ
以上、今回の記事では内定をもらった際の、会社との条件交渉の内容についてまとめました。わたしが交渉した時は、面と向かって話をしている際にこちらの状況や希望を簡単に話し、その後に記録の残るメール文面上で具体的な数字の希望を伝え、メール上で細かく詳細を詰めていく、という交渉を行いました。
今回の記事を書き起こすにあたって、その当時のメールを読み返すこともできていますし、一石二鳥ですw
プロ野球選手じゃないですが、あなたへの評価は数字が全てです。ですので、妥協することなく粘り強く、かといって先方に嫌な印象を与えない範囲でうまく交渉を重ねていってください!